おしらせ
おしらせ
作成日:2018/04/19
NEM不正流出補償金に関する国税庁の見解が発表されました。



今年1月に仮想通貨最大手取引所コインチェック社からNEMが不正に流出し、
大変な騒ぎとなったことは記憶に新しいところです。

同社は今年3月に、不正流出の被害に遭った顧客に対し、
不正流出時点での価格相当額での補償(日本円での補償)を開始しましたが、
その所得税法上の課税関係について、4月16日に国税庁が見解を公表しましたのでご紹介します。

(国税庁ホームページへのリンク)
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1525.htm


[ポイント]

・NEM不正流出被害者がコインチェック社から受け取る補償金は、その補償金と同額でNEMを売却したものと考えられる。
・このため、その補償金額がNEMの取得価額を上回る場合にはその差額が雑所得となり、
下回る場合には、その生じた損失を他の雑所得と損益通算することとなる。

[解説]

1. 損害賠償金を所得税非課税とする法律の趣旨

国税庁は、所得税法上の非課税所得に関する規定の趣旨について、
過去の国税不服審判所の裁決の表現を用いて、次のように説明しています。

(所得税法上の非課税所得に関する規定の趣旨)

@ 損害賠償とは、他人が被った損害を補てんし、損害がないのと同じ状態にすることを目的とするもの。
   よって、そこに所得の観念を入れることは酷であると考えられるため、
     所得税法上、損害賠償金については非課税所得とされている。

A しかし、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益(逸失利益)を喪失した場合において、
     これが賠償されるときは、その喪失した所得(利益)が補てんされるという意味では、
     実質的には所得(利益)を得たのと同一の結果となる。
   よって、この場合には、損害賠償金名目で支払われたものであっても、非課税所得とはならない。

2. NEM不正流出補償金が非課税所得に該当するかどうか

 国税庁は上記1.の考え方を、今回の補償金支払に次にようにあてはめました。

・ 一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、
 返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であること

・ このため、その金銭の支払は、
 その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となること

・ よって、コインチェック社が顧客に支払った補償金には、
 本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれていると考えられること


  以上の理由付けにより、国税庁は今回支払われた補償金は非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となると結論付けています。

  このため、今年分の仮想通貨取引についての所得計算上は、

・  補償金の計算の基礎となった1単位当たりのNEMの価額がもともとの取得単価よりも高額である場合には、その差額の合計額は雑所得となること

・  補償金の計算の基礎となった1単位当たりのNEMの価額がもともとの取得単価よりも低額である場合には、その損失の合計額は、他の雑所得の金額と損益通算すること

を念頭に置き、他の仮想通貨の取引状況を勘案しながら、所得税額に与える影響を検討しておくべきではないかと思われます。

 というのは、仮想通貨の価格はときに非常に激しく変動するため、
年末にかけて相場が上昇したような場合には、この損失(あるいは所得)額が、
今年の所得税額に大きな影響を及ぼす可能性が考えられるからです。

 補償金を受け取られた方は、まずはその損益金額をしっかりと計算しておくと良いのではないでしょうか。

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